次のUAE戦がすべてだね。
”弟子”メツ監督が見た“教授”「オシムは苦しんでいる」…13日UAE戦
13日のアジア杯第2戦でオシム・ジャパンと戦うUAEのブルーノ・メツ監督(53)が、本紙単独のインタビューに応じた。現役時代同じクラブの中盤でプレーしたイビチャ・オシム監督(66)を「教授」と仰ぐ同監督は、老将が巨大なプレッシャーに苦しんでいることも暴露した。9日のカタール戦を1−1で引き分けた日本。UAEはベトナムに0−2で敗れるなど、負ければともに決勝T進出が絶望的になる「背水の師弟対決」。初戦の因縁対決に続き、3連覇に向けオシム・ジャパンは正念場の一戦だ。
痛恨のドロー発進で窮地に追い込まれたオシム監督に、更なる衝撃−。まな弟子のUAEのメツ監督が10日、激白した。
「日本に勝つ自信はある。大会3連覇がかかる日本は優勝候補筆頭。我々に失うものは何一つない。すべてのプレッシャーは日本に襲いかかる。初戦のドローで日本は極めて困難な状況に陥った。巨大な精神的圧力はイバン(オシム)にものし掛かる。毎日宿舎で彼と話しているが、少し神経質になっているようだね」
9日のカタール戦ドロー後、千田善通訳を号泣させるほど選手を痛罵(つうば)したオシム監督に襲いかかる精神的ストレスを暴露した。
因縁の師弟対決だ。ともに現役時代の74年シーズンに仏バレンシエンヌに所属。当時ルーキーのメツ氏は13歳年上の中盤オシムに師事。「彼は私にサッカーのABCを教えてくれた。私には最高の師匠で偉大な教授だった」1次リーグB組全チーム同宿のベトナム市内の高級ホテルでは、神経質な老将の貴重な話し相手となっている。
だが、勝負の世界は非情。UAEは8日の初戦ベトナム戦で0−2負け。次戦敗戦で1次リーグ敗退が濃厚となるだけに、“口撃”に容赦はない。「イバンは他国と比べると準備期間も短かった、と話していた。だが、私がセネガルを率いた02年W杯直前の準備期間は8日間。それでも仏を破り、決勝T進出を果たした。日本にも1年間戦術を浸透させる時間があったはず」6月30日開催のJ公式戦の影響で、長期合宿を組めなかった日程問題をいまだに嘆く老将に手厳しかった。
メツ氏は日本代表とも浅からぬ縁がある。セネガル監督時代の01年10月4日、日本を2−0で撃破し、当時のトルシエ監督は解任危機に。02年W杯後には日本代表監督候補にリストアップされた。因縁の背水対決で両将がすべてを懸ける。
◆ブルーノ・メツ 1954年1月28日、フランス生まれ。53歳。現役時代は自国リーグでMFとして活躍。現役引退後は、フランスのリール、セダンなどで監督経験を積み、2000年にセネガル代表監督就任。02年日韓W杯では、同国を初のW杯に導き、ベスト8進出。その後は、UAEのアル・アイン、カタールのアル・ガファラを指揮し、現在はアラブ首長国連邦(UAE)代表を率いる。